「文化審議会著作権分科会法制度小委員会報告書(案)」に対する意見を提出しました
クリエイターエコノミー協会は、これまでも、文化庁に「簡素で一元的な権利処理の在り方」に関する意見を提出し、文化審議会著作権分科会法制度小委員会で簡素で一元的な権利処理方策と対価還元の制度化についてヒアリングも受けておりましたが、このたび、「文化審議会著作権分科会法制度小委員会報告書(案)」に対する意見を提出いたしました。
1 報告書の概要
報告書では、以下の制度の創設が示されています。
(1) 一元的な窓口の創設
著作物等の種類や分野を横断する一元的な窓口を創設し、データベース等を活用して著作権者等の探索等を行い、著作権者が明確な場合は当該著作権者や集中管理を行っている著作権等管理事業者に取次や案内を行う。
(2) 新制度(新しい権利処理の仕組み)の創設
データベース等に情報がなく、集中管理がされておらず、一元的な窓口による探索等においても著作権者等が不明の場合、
①著作物等の利用の可否や条件等に関する著作権者等の意思表示がされておらず、
②著作権者等へ連絡が取れない場合、又は連絡を試みても返答がなく、
③著作権者等の利益を不当に害したり、著作者の意向に反するといったことが明らかであると認められるときに該当しない場合、
使用料相当額にあたる利用料を払えば、
ⅰ 利用期間の上限内、かつ、著作権者等からの申出があるまでの間の時限的な利用(申出後も原則、一定期間は利用できる。翻案利用もできる。)を可能とする。
ⅱ 著作権者等からの申出の機会を確保するため、時限的な利用が決定したときは、その旨、広く公表することとする
2 意見
当協会が提出した意見の概要は以下のとおりです。
クリエイターがこの制度を知らず、知らない間に、自分の作品が望まない使われ方がされるということをなるべくなくすため、①制度について、十分な時間をかけてさまざまな手段で周知するとともに、②新制度が利用された際に、クリエイターが、自分の作品が利用されたことを認知しやすいよう、公表ページに、さまざまな導線を設けること
新制度では翻案についても許容されているが、濫用的な利用がなされないよう留意すべきであること
相互フォローしていない者からのSNSを通じたDMなど、クリエイターが①詐欺的な連絡と誤解してしまったり、②その他の多数の連絡の中に紛れてしまったり、③自身に対する誹謗中傷を目にすることを避けるために連絡機能を見ないようにしていたりするなかで、クリエイターが新制度に関係する連絡がきたと認識しにくい方法での連絡をもって、「連絡を試みた」とせず、インターネットの実態を踏まえて「連絡を試みた」と認定すべきであること
利用料については、コンテンツや利用方法によってさまざまであるため、各分野の特性を踏まえ、かつ、各分野の実態を十分ヒアリングをして決めるべきであること
本来的には、著作権者の意思表示を尊重すべきであることから、データベースを充実させるべきであること
クリエイターが安心安全に活動していけるような法整備が進むことを期待しています。