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ステルスマーケティングに関する消費者庁の規制案に対して意見を提出しました

クリエイターエコノミー協会は、2023年2月21日に「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」告示案及び「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」運用基準案に対する意見公募手続に対して、意見を提出しました。

ステルスマーケティングの問題性については理解するところであるものの、運用基準案が日本のクリエイターエコノミーの実態と乖離しており、発信を伴う様々な経済活動にも悪影響を及ぼしかねないおそれがあることから、真に問題となる事案が対処されることを期待して、主に以下のような運用基準案の改善提案等を行いました。

  • 関係者間で「誰のどのような行為が問題なのか」という点について認識が必ずしも一致していないため、問題となる行為が誰のどのような行為なのか、対処すべき問題点が何なのか、具体例とともに明らかにしてほしい。境界線が曖昧なまま、包括的な規制がかかってしまうと、現状問題が起きておらず規制が必要のない範囲においても、クリエイター等のインフルエンサー(以下「クリエイター等」という。)の混乱と委縮を招くことになり、さらにはSNS等での発信を萎縮させ、発信を伴う様々な経済活動にも悪影響を及ぼしかねない。

  • 境界線が曖昧なまま、包括的な規制がなされると、クリエイター等のコンテンツに触れた、正義感の強い者などから、ステルスマーケティングではないコンテンツに対しても、まるで法律違反をしている、ステルスマーケティングであるかのような疑いをかけられるなどして、クリエイター等への誹謗中傷問題がさらに悪化するおそれがある。

  • クリエイター等を起点とした「自主的な意思」による情報発信(例えば、クリエイター等がレジャー施設やお店から撮影許諾を得たうえで、自己の動画コンテンツを制作・公開すること)においても、原案(※1)のような事情を総合的に考慮するものとしてしまうと、事業者及びクリエイター等が、必要以上に事業者の表示にあたることをおそれ、混乱・委縮してしまい、クリエイター等による新しいコンテンツの創作に悪影響を与えかねない。そのため、クリエイター等を起点とした情報発信について、すべからく原案のような事情の総合的考慮により判断することは不適切であり、クリエイター等による投稿等の実態を踏まえて、事業者の表示となるかどうかを判断してほしい。

  • 事業者が、クリエイター等の第三者に対し、投稿すれば今後の取引につながるかのような言及をすることは、リップサービスにすぎないことも多い。そのため、そのことをもって、原案(※2)のように「事業者が第三者に対して表示を行うよう明示的に依頼・指示していない場合であっても、事業者の表示とされる場合」の例とすることは不適切である。また、「当該第三者に経済上の利益をもたらすことを言外から感じさせたり、言動から推認させたりする」はあまりにも解釈の幅が広く、具体的にどのような場合が該当するかが不明瞭であるため、クリエイター等の自主的な意思による自己のSNSアカウント等での情報発信の委縮に繋がるおそれが高く、それをもって、当該表示がクリエイター等の自主的な意思による表示とは客観的に認められない場合にあたるとすることは不適切である。

※1:
「事業者と第三者との間に当該第三者の自主的な意思による表示とは客観的に認められない関係性がある」かどうかの判断に当たっては、当該事業者と当該第三者との間の具体的なやり取り(例えば、メール、口頭、送付状等の内容)、当該事業者における当該商品又は役務の内容(例えば、どのような商品又は役務を提供するのか)、当該事業者と当該第三者との関係性の状況(例えば、過去に対価を提供した関係性がどの程度続いていたのか、今後、対価を提供する関係性がどの程度続くのか)等の実態も踏まえて総合的に考慮する。
※2:
事業者が第三者に対して、表示を行うように明示的に依頼・指示していない場合であっても、事業者の表示とされる場合としては、例えば、以下の場合であると考えられる。
事業者が第三者に対して、当該事業者の商品又は役務を表示することが、当該第三者に経済上の利益をもたらすことを言外から感じさせたり、言動から推認させたりする(例えば、SNSへの投稿を明示的に依頼しないものの、投稿すれば今後の取引の実現可能性に言及するか)などの結果として、当該第三者が当該事業者の当該商品又は当該役務についての表示を行うなど、当該表示が当該第三者の自主的な意思による表示とは客観的に認められない場合。

「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準案

クリエイターが安心安全に活動していけるような法整備が進むことを期待しています。