法人登記の代表取締役の個人情報保護に関する提言を6団体共同で提出しました
現在の法人登記の制度では、代表取締役の自宅の住所が公開されることとなっています。しかし、このことは、クリエイターが活躍のステージを高めていくために法人化するにあたって、大きなハードルとなっています。
そこで、本協会では、法人登記の代表取締役の住所を原則非公開とする提言を作成し、5団体と共同して、自由民主党新しい資本主義実行本部スタートアップ政策に関する小委員会宛に提出いたしました。
今後も本協会は、クリエイターエコノミーの普及・促進とその活性化に向けた様々なアクションを実施していきます。
法人登記の代表取締役の個人情報保護に関わる提言
2023年5月8日
自由民主党 新しい資本主義実行本部
スタートアップ政策に関する小委員会 御中
一般社団法人クリエイターエコノミー協会
一般社団法人シェアリングエコノミー協会
一般社団法人スタートアップ協会
一般社団法人スタートアップデータ標準化協会
一般社団法人Fintech協会
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会
現在の法人登記の制度では、代表取締役が自宅の住所まで公開しなければならない。
しかし、代表取締役の自宅の住所まで公開される結果、知らない人間から自宅に郵便物が送られてくる、知らない人間が自宅に来る、インターネット上に自宅の住所が晒される等の問題が発生しており、本人のみならず同居している家族にも被害が生じるおそれもある。また、一度、インターネット上に自宅の住所が晒されてしまうと、コピーサイト等が作られ、SNS等でも拡散される結果、それらを全て削除することは事実上不可能となる。
クリエイターやシェアワーカーなどのフリーランスが活躍のステージを高めていくために法人を設立することや、起業家がスタートアップを起業する場合に法人を設立することがあるが、上記のリスクをおそれ、法人化をためらうケースも発生している。
他方で、登記情報については、加盟店審査、与信審査等にも活用されているが、手作業で行われているものも多い。この点については、行政がAPIを提供し、自動化されることで、ミスのリスクの低減や効率化を図ることもできる。
法人登記において、代表取締役のプライバシーを保護し、かつ、登記情報の請求プロセスをデジタル化して活用しやすくすることは、業界を越えたビジネスの振興策にも繋がる。
これらの課題の解決に向け、今後の方向性を共有させていただきたく、以下のとおり提言する。
提言概要
1. 代表取締役の個人情報(住所)の原則「非開示」化
● クリエイターやシェアワーカーなどのフリーランスの事業拡大やスタートアップの起業に伴う法人登記を促進するとともに、法人の代表取締役のプライバシーを保護するため、登記情報提供サービス(データ)及び全部事項証明書(書面)において、代表取締役の個人情報(住所)を原則、非開示とし、非開示情報を含む情報の請求は、当該法人のほか、法律職、資金移動業者、金融機関等の利害関係者(以下、これらを総称して「利害関係者」という。)による、正当な理由がある場合に限定し、目的外利用を禁止することで濫用を防止する法整備(省令改正)を行う。反社会的勢力かどうかの判断や与信審査については、相手方から直接情報を取得することで対応する。
2. 法人登記情報の請求プロセスのデジタル化
● 代表取締役の個人情報(住所)の原則非開示化に伴い、登記情報提供サービス及び全部事項証明書のオンライン申請においては、アクセスIDの設定等をすることで、利害関係者のみが、非開示情報を含む登記情報を請求することができるようにする。
● アクセスIDの設定等をして、利用者を資金移動業者や金融機関等に限定しつつ、APIを提供することにより、プライバシーに配慮しつつ、登記情報を活用する業務を自動化する制度設計を行う。
以上
本提言にあたっては、株式会社PoliPoliに様々なアドバイスやご調整をいただきました。また、当協会として、政治家に直接意見を届けられる政策プラットフォーム PoliPoli(https://polipoli-web.com/)において政策リクエストも行っております。