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新しい資本主義の グランドデザイン及び実行計画 2024年改訂版にクリエイター支援の施策が多数盛り込まれました

2024年6月21日に政府が閣議決定した、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024年改訂版に、クリエイター支援の施策が多数盛り込まれましたことをお知らせします。

当協会では、今後も、クリエイターが活動しやすい環境の整備や支援を続けてまいります。

以下抜粋

(1)クリエイター・コンテンツ産業に関する司令塔機能の強化
クリエイター・コンテンツ産業に係る政府の司令塔機能を明確化した上で体制を強化し、クリエイターの発掘・育成や海外展開支援に取り組む。

①コンテンツ産業官民協議会の設置
内閣府・文部科学省(文化庁)・経済産業省・総務省・外務省・公正取引委員会等の関係省庁等及びコンテンツ関係者(クリエイター、関係業界等)から構成されるコンテンツ官民協議会を設置する。事務局は内閣府知的財産戦略推進事務局とする。 任務として、クリエイターが安心して持続的に働ける環境の整備に加え、クリエイターの海外展開・情報発信、デジタル化等に対応したコンテンツ産業の改革、海賊版対策、クリエイター・コンテンツ産業の支援制度の在り方等について戦略的な議論を行い、官民で進捗状況について共有・確認しながら、PDCA サイクルを回していく。

②映画戦略企画委員会の設置
上記コンテンツ官民協議会の下に、映画に特化した映画戦略企画委員会を設置する。構成メンバーは上記の関係省庁及び映画関係者(クリエイター、関係業界等)とする。 任務として、映画関連のクリエイターが安心して持続的に働ける環境の整備、映画に関する支援制度の在り方、映画の海外展開・発信、映画のロケ誘致等について具体的な方策の企画立案を行う。

③横串機能の強化、個人の創造性支援の強化
コンテンツ産業官民協議会、映画戦略企画委員会を通じ、コンテンツに関する各種支援制度について点検しつつ、個人にとっても分かりやすいよう、メニューを一覧化する等、横串を通していく。 特に、創造性を有する個人のクリエイターが、企業という「プラットフォーム」を活用し付加価値を生み出していく経済構造への変化を踏まえ、クリエイター個人に対し、発掘から、育成、製作、海外展開まで一気通貫で中期的に支援できるよう、文部科学省(文化庁)・経済産業省が協働して支援していく。

④コンテンツ政策に関する既存事業の統合・強化
クリエイター・コンテンツ産業に対する一貫的で強力な支援体制を構築するため、既存事業の主要なものについて、文部科学省・経済産業省の両省庁の施策を統合して執行する体制へと変革する。 具体的には、これまで両省庁で要求してきたクリエイター支援・事業者支援双方を束ね、「クリエイター支援基金」に統合する。クリエイター支援の強化を念頭に、教育・人材育成、労働環境整備、製作支援、国際展開支援、国内流通機能強化、国際プレゼンス向上等のカテゴリごとに実行するよう、体制を刷新する。

(2)海外展開及び世界に通用するコンテンツの制作・流通の促進
海外展開を促進するため、海外への進出に際しての制作会社に対するビジネス展開の支援、国際見本市や国際映画祭における出展支援や、若い人に対する留学支援や国内での学びの場の整備等を実施する。 また、放送番組・音楽等の世界に通用するコンテンツの制作・流通 とともに、海外での評価形成基盤の構築、地方での取組やコンテンツ産業の活性化等に取り組む。

①次世代を担うクリエイターの育成
コンテンツの競争力の源泉はクリエイターにある。このため、才能ある人材の育成プログラムとして、選抜されたクリエイターによるコンテンツ制作・発表・海外展開の支援と、メンターによる伴走支援を実施する。 若手クリエイターを海外に派遣し、世界に通用するコンテンツ制作の経験を積む機会を提供する。海外展開時の契約交渉にかかる弁護士や会計士等の専門家費用を支援する。また、国際舞台での活躍が期待されるクリエイターとプロデューサーの双方について、国際的なネットワーク形成や国際見本市や国際映画祭への出展支援を強化する。また、海外展開を目指すクリエイターや制作会社に対して、作品の翻訳や吹き替え等のローカライズの支援を検討する。 クリエイターを目指す高校生や専門学校生に対して、留学支援を実施する。 デジタル技術を活用してコンテンツを制作するデジタルクリエイターの育成(ゲームや映像制作のグローバルプラットフォームにおいて行う制作の支援)を図る。

②エンタメ分野の日本のスタートアップの海外進出
米国西海岸シリコンバレー等を含め、エンタメ分野のビジネスの海外進出に取り組む我が国のスタートアップに対して、その事業実施を支援する。また、他分野からの参入に積極的に取り組む企業を支援する。

③コンテンツ制作の支援
グローバルに通用する作品の制作の資金の確保のため、制作会社が自ら資金調達をして行う作品の制作支援を行う。 また、我が国の放送番組、映画の制作の現場では、VFX(撮影後の仕上げ作業時に行われる画面効果を高める技術)や3DCG等のデジタル技術の活用が十分進んでいない。ⅰ)映像上の背景や建築物等のデジタルアセットの制作とそのアーカイブ化の促進、ⅱ)スタジオの民間整備の促進、ⅲ)海外の大型作品の日本国内ロケ・制作の支援を行う。

④クリエイター育成のための高等教育機関の整備
アニメ・漫画・映像・音楽等の業界と教育界をつなぐ、スキル調査・フィードバックや、クリエイター育成のための基礎教育プログラムを提供するほか、クリエイター及びコンテンツ産業育成に必要な能力を得ることができる大学学部や専門学校のコースを創設し、振興する。また、関連分野での留学生の積極的な受入れを図り、国際的な人材の循環を作る。 コンテンツ産業分野における海外人材の獲得のため、特定技能制度の活用に向けて、どのような業務に従事する人材が必要であるか、当該分野が生産性の向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人手不足であるか等についての検討を行う。 コンテンツ産業の海外展開を強力に推進するため、グローバル市場を前提としたプロデューサーの育成に取り組むとともに、コンテンツ単体への支援にとどまらず、分野を越えて連携したミックスカルチャーの取組を活発化させる支援体制を整備する。

⑤日本貿易振興機構及び国際交流基金等による支援
日本貿易振興機構(JETRO)の海外事務所を活用して、コンテンツ専門人材を採用・配置し、海外に進出するクリエイター・関連企業の現地におけるビジネス展開を支援、現地でのネットワーク形成を進める。 また、アーティストが海外で認知を獲得するためには海外公演が重要であるが、事業者にとってリスクが高く、円滑な実施に課題もあることから、日本貿易振興機構等の海外拠点における関係機関と連携した現地サポートや、海外展開に係る補助金を活用した海外公演の開催支援を推進する。 さらに、コンテンツ振興のため、東京国際映画祭における映画人の交流のためのアジア交流ラウンジを含め、国際交流基金による支援を進める。

⑥放送番組・音楽等の世界に通用するコンテンツの制作・流通
放送番組の制作現場において、放送に関わる全ての人々に、ハラスメント、いじめ、長時間労働等が行われないよう、テレビ局等は自主的に取組を進める。 放送番組の制作取引において、一方的に著作権を発注者に帰属させることやハラスメント等が行われないよう、ガイドラインを整備し、遵守・徹底を図る。 世界に通用する放送コンテンツの制作・流通を推進し、クリエイターへの適切な対価還元を実現する。クリエイターのための4K設備・VFX等の利用環境整備、4K・VFX制作技術等のノウハウ習得のための人材育成や権利処理効率化を支援する。 我が国のコンテンツ産業の国際競争力を高めるべく、海外向け放送コンテンツの制作・流通を円滑化するため、日本放送協会と民間放送の共同による国内のインターネット配信プラットフォームの国内外への配信機能強化を後押しする。

⑦面的な海外展開に向けた窓口一元化と発信拠点整備
現在、文学、マンガ等の海外展開は、個別の作品ごとに行われ、1人の作家による作品といった包括的な形では進んでいない。海外からの問合せ窓口の一元化を図る仲介事業者(出版社・エージェント)の取組を支援する。 また、人々が国内外から集うような発信拠点の整備を検討する。 ⑧海外での評価形成基盤の構築 マンガ、アニメ、美術、文学等について、ⅰ)コンクールやワークショップを開催し、翻訳や批評を行う専門人材を発掘・育成、ⅱ)日本の作品を海外でライセンスアウト(売却・使用許諾)する際に、その営業や交渉において必要となる企画書の翻訳費用の支援、ⅲ)世界的に影響力のある美術館での作品の展示機会の確保や推薦作品リストの作成支援の検討を行う。 海外での評価形成に当たっては、作品の質のみならず、熱心なファンコミュニティの形成に向けた戦略性が不可欠である。国際映画祭や国際見本市におけるジャパンパビリオンの出展とその場での作品のプロモーションを支援する。音楽についても、グローバルなプラットフォームを活用して現地の熱心なファンコミュニティ形成を後押しする。

⑨地方でのコンテンツ関連の取組の活性化
地方におけるロケ地誘致やコンテンツを用いたイベント開催は、海外からの観光需要の創出につながる。地方での取組を後押しする。海外制作会社による大規模映像作品のロケ撮影等の誘致は、地域経済活性化やインバウンド需要喚起のみならず、国内映像産業の高度化につながることから、特にVFX等デジタル技術を活用したプロダクションを伴う作品誘致を推進する。

⑩知的財産と異なる産業の組合せによる新たなコンテンツ産業の創出
デジタル化への移行を契機に、日本国内に眠る様々なコンテンツの利活用を進め、異なるコンテンツ・産業との組合せ等を通じて、新たな知的財産(IP)活用によるコンテンツ産業の創出を図る。 音楽については、日本ブランドのキュレーション(情報の編集・発信)の在り方の再構築に向けて、デジタル化時代に対応した過去のコンテンツの利用に係る権利の整理や適切な対価還元を実現するための方策について検討する。 アニメ・漫画については、海外プラットフォームが市場支配力を有する中、ブロックチェーン等の新たな技術を活用し、日本発プラットフォームを創出しようとするコンテンツ事業者を支援する。 アートについては、博物館同士の連携強化、博物館におけるデジタル・アーカイブ化の促進、博物館の資金調達能力の向上等を含め、我が国全体の博物館の機能強化に向けた方策を検討する。また、国際的な影響力を持つアートフェアとの連携強化、国内開催に対する支援等により、我が国アートシーンのプレゼンスの向上を図る。さらに、美術館における漫画、アニメ、ゲーム、メディアアート等の展示が可能となるよう原画等の収集、保存及び公開並びにデジタル・アーカイブ化の促進を図る。博物館等に対するクラウドファンディング等の活用に関する周知を図るとともに、博物館の資金調達力の向上に向けた方策を検討する。

⑪DAOや先端技術の利活用促進
映像等のコンテンツ製作やクリエイターへの対価還元において、DAO(分散型自律組織)の仕組みは活用余地がある。また、製作工程のDXや、映像等の魅力向上、翻訳の効率化による海外展開促進、さらにはクリエイターへの対価還元等において、テクノロジーの活用は非常に有効である。AIやVFX、web3等の先端技術の利活用を促していくため、コンテンツ事業者のデジタル技術の利活用を支援する。

⑫海賊版に対する対策強化
日本のコンテンツの海賊版が生成AIにより学習されるおそれや、外国での被害も深刻化する中、国外犯処罰の導入検討も含め、国際執行を強化するとともに、日本企業による海外プラットフォーム買収等も活用しつつ、海外への正規版の流通を促進する。

(3)クリエイターが安心して持続的に働ける環境の整備
革新的なコンテンツの創造活動を行っていくためには、我が国でも、オープンで広い人的ネットワークのエコシステムを形成する必要がある。他方で、制作現場の労働環境や賃金の支払といった側面で、クリエイターが安心して持続的に働くことができる環境が未整備である。我が国のクリエイターの創造性が最大限発揮される環境を整備する。 クリエイターやアーティスト等を対象に、適切な収益還元や健全な労働環境等を阻害する労働慣行や取引関係の是正に着手し、官民の取組により、制作サイドに収益を還元するビジネスモデルを構築する。 

①優越的地位の濫用防止等と取引適正化
実演家等が働きやすい環境を作るためには、取引慣行を是正していくことが不可欠である。現下の技術革新の中で、コンテンツ産業については、個人の創造性に重点が移りつつあることに鑑み、公正取引委員会の協力の下、優越的地位の濫用等を防止し、個人を守ることに力点を置いて、音楽・放送番組の分野の取引慣行等について実態調査を行い、本年内に完了する。 この際、実演家・クリエイターの事務所移籍に際して、移籍前の事務所が在籍当時の過去素材の権利を所有し続ける場合、その許諾を拒否することで、その利用を妨げ、事実上、移籍後の仕事をできなくするといった慣行が見受けられないか、調査を行う。 この調査結果を踏まえて、実演家と事務所との間の契約等を適正化する観点から、それに反する行為は独占禁止法に抵触するおそれがあることを示す指針の作成を図る。 映画・アニメ等のクリエイター個人の創造性が最大限発揮される取引環境を整備するため、音楽・放送番組の分野の実態調査に続けて、年明けから、映画・アニメの制作現場におけるクリエイターの取引環境に係る実態調査を行う。

②その他の取引適正化に向けた取組
現在、クリエイターや制作会社の多数は多重下請構造の中にあり、制作現場には十分収益が還元されていない。エンターテイメント業界における実演家・クリエイターの権利保護や労働慣行是正に向け、「文化芸術活動に関する法律相談窓口」の体制強化を図る。 また、クリエイターは発注業者との関係において劣位な立場に置かれることが多く、事前に業務内容や報酬額、支払時期等が十分に明示されないまま不利な条件の下で業務に従事せざるを得ない状況があるため、この秋施行されるフリーランス・事業者間取引適正化等法の活用を図る。 

新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024年改訂版(P23-28)

政府が閣議決定した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024年改訂版」については、以下よりご覧いただけます。

新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024年改訂版 


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